マトスポブログ
サハラマラソン参戦記録 vol.15(全5ページ)
第2チェックポイント/日本人最強選手の勇姿
次のチェックポイントまでの10.8kmはほぼ一直線。路面もここまでとほぼ変わらない様子。
相変わらず雲が多く出ているのでそれほど暑さは感じない。今はロキソニンも効いている。
走ろうと思えば走れそうだったが、無理をせず黙々と歩を進める。
チェックポイントを出て15分程たった頃、爽やかサミュエルが「Hai!」の声とともに一層爽やかに私を抜いていく。
18km地点にある丘陵を越えて30分程した頃、遅れてスタートをした総合上位陣が現れる。
トップをひた走るのはオーバーナイトステージとは違い白人の選手だ。
今日のように気温が低くフラットなコースの場合はスピードのある選手が優位に立つらしい。
彼らは今日も我々のファーストネームを呼びながら抜いていく。悔しさはなく、ただ羨望を覚える。
第2チェックポイントへは実にあっけなく到達。第1チェックポイントから2時間かかっていない。やはり今日は楽だ。
チェックポイントの手前にある謎の畑を横目に見ながら入口に向かう。
第2チェックポイント※写真提供F岡さん
入口で配水と体調確認を受け、チェックポイント内に入ったところで「尾西さん!」と声がかかる。
ジープの日よけの下にRくんが座り込んでいた。彼は少し前に辿り着いたという。それにしても毎度毎度似たような位置で会うものだ。
オーバーナイトステージではハンガーノックに陥ったものの、今日は調子が良いようでこの後も走れるだけ走るという。
彼の軽量装備の作戦は裏目に出たこともあったが、レース最終盤のここにきてその真価を発揮している。
重量装備を背負い続けてきた私とは疲労も足の状態も大きく異なる。マメの類いはほとんどできていないそうだ。
Rくんとそんな話しをしていると、突然「頑張って!」の声とともに高速で動く影が横切っていった。
慌てて影の先に目をやる。昨年日本人1位、今年は総合50位内を狙っているS村さんだ!先に書いた通り総合上位組として彼も遅れてスタートしていた。
彼はこちらを振り返りながらも立ち止まることはなく、何でもゴミ箱に空いたペットボトルを素早く投げ捨て、そしてそのまま走り去って行った。
・・・これが5%内を狙う人の戦いか。なんて格好いいんだ。
そして・・悔しくもなった。オーバーナイトステージや今日のステージで他国の選手に抜かれたときには起らなかった感情だ。
同じ日本人でここまで戦える人がいる。身近な人が違う次元の戦いをしている。自分は・・。
決定的。
オーバーナイトステージで総合上位の選手達を見て芽生え始めた想いがいま決定的なものとなった。
だが、そのことをあれこれ考えるのはまた後の話だ。先ずは目の前のことに集中しなくては。
残すチェックポイントはあと1つ。いよいよあと1つだ。