マトスポブログ

サハラマラソン参戦記録 vol.15(全5ページ)

第3チェックポイント/終わりの関門

丘陵を越えるとダラダラと下りが続くのだが、兎に角 尖った石が多い。
痛んだ足でそれらを踏むと、思わず「・・むぅ」と苦悶の息が漏れる。
谷への入口の岩場は荒れ具合がより顕著なので慎重に進んで行く。

谷に入ると途端に緑が増え、そのうち道も段々と整備されているような様子になってゆく。
どうやら村落のようで、数こそ少ないが家々も建ち並び住人が観戦に出ている。
この感じだともう少しかな?と、考えていた途端。

見えた!

第3チェックポイントだ!※写真提供F岡さん

突然に現れたそこはひどく騒がしかった。
車両は1台きりでスタッフの数こそ少ないが、彼らがブラボーブラボー!の大喝采と拍手を選手に送っているからだ。
ここの雰囲気は今までのチェックポイントとは明らかに異質だ。
最後の関門に辿り着き、完走がほぼ確実になった選手達に惜しみのない賞賛を送ってくれている。なんと素晴らしいスタッフ達だろうか!
スタッフの1人が私の姿に気づく。

あ、このスタッフ見たことあるぞ。

「モトキィ、バンザーイ!」

げっ、第3ステージのバンザイスタッフやんけ。最後の最後でお前かよ!はいはい、わかりましたよ!
今日は愛想の万歳ではなく、彼らの賞賛に応えるため諸手を挙げて全力で万歳!最後のチェックポイントに到達。

第2チェックポイントからここまで約2時間半。珍しく木陰もある。せっかくなのバックパックを解き、そこに腰を下ろす。

・・・あと少し。
顔はむくみ、足は爪が剥がれマメだらけ。脚はどの筋がと言えないほど全てが張っている。肩もバックパックの食い込みで痛み擦り剥けている。
サングラスによるこめかみと耳の締め付けは耐え難く、腰痛はいよいよ酷い。あとついでに便意で腹が激しく痛い。
肌が露出している部分は勿論、鼻をはじめ穴という穴は砂だらけ。所持品で砂が付着していないものなど一つもない。
真っ白だったウェアは汗と砂で黒ずみ、ハーフパンツは破れ、砂から足を守るゲータも破損が酷い。
両胸に差したボトルの飲み口はどちらも頻繁な補給により噛み千切られている。キズバンドやテーピングの類いはとうに使い切り、トイレットペーパーもすでにない。

だが、それもあと少し。もう関門はない。あとたった10km進めば終わりなのだ。
スタート時には水と合わせ16kgもあったバックッパック。小さく軽くなったそれを見つめいよいよ”フィニッシュ”を意識し始める。

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