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サハラマラソン参戦記録 vol.7(全4ページ)

2014年4月、弊社の社員である尾西基樹30歳(独身)が、世界で最も過酷とされるサハラマラソンに参戦した記録譚、第7回。
今回は走り出して2日目の前編。1日目の昨日に比べ、小粋なジョークが飛び出すなどこの過酷な環境にも少し慣れてきた様子。
リタイアした仲間との別れ、過酷な環境、いろんなことが巻き起こっているサハラマラソン参戦記録ですが、そろそろロマンス要素が欲しいところ。
尾西基樹30歳(独身)にロマンスはあるのか!?

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4月7日

第2ステージ 41km/制限時間 11時間

仲間との別れと復活のFさん

昨日と同じ午前5時30分頃、iPhoneのアラームで目を覚ます。
周りを見るとテントメイトも他のテントも、もうほとんど起床していた。

起床後さっそくデビーさんの訪問があった。
水の配給とスタート時刻の案内。昨日より少し早いスタートとのこと。
そして昨日のリタイア者数や最高気温等のアナウンスがあった。
気温が50℃に迫っていたことになぜかみな興奮気味。なぜだ?

あの大砂丘をクリアした貴方達は本当にグレイトだと上手い具合に野郎どもを操縦してくれるデビーさん。
まんざらでもない様子の既に小汚い面になっている野郎ども。
53番テントは全員初参加で、期待と不安が合わさった初日を終えたことでみなリラックスして2日目を迎えれたようだ。

湯を沸かしながら、今日のコースの内容はどんなだったかなとロードブックを開く。
41kmとフルマラソンに迫る距離だが、制限時間は昨日の34km10時間に対して1時間余裕があるだけの11時間。起伏の小さいフラットなコース設定だ。

第1チェックポイントまではひかえめな砂丘を越えた後は涸れ川が続き、少し石の多い地形の11.5km。
第1チェックポイントを出た後は砂地が続き、山沿いに西に進路をとる。そしてこれまたひかえめな砂丘を越えれば第2チェックポイント。これがこの日のチェックポイント間最長の14.5km。
進路を南南西にとり、フラットな8.1kmをクリアすれば第3チェックポイント。
第3チェックポイントからゴールまでの距離は6.9kmと短いが、チェックポイントを出てすぐ急斜面の高い丘がある。それを越えればあとは残り2km地点にある丘陵まではフラット。
昨日に続き、最後の丘陵を登り切るまでは恐らくビバークが一切見えない素敵な配置だ。

どうやら昨日のように一ヶ所で体力を大きく削られる地形はない模様。
身体を動かし、関節と筋肉の状態を確認する。足に筋肉痛はない。昨日治療した箇所も問題ない。バックパックによる肩の凝りが多少気になる程度だ。
第1ステージはクリアに時間を要したが、あの程度のペースであれば一晩で体力は回復してダメージもそれほど残らないと確認できた。

昨日一日の体験を元に本日とそれ以降の大まかな作戦を決定した。
第1チェックポイントまでは、全ステージ通じて大体10km程に設定されている。これを走ることにした。
午前中のまだ気温が上がり切る前に、且つ体力が充実している間に距離を稼ぐのが狙いだ。
第1チェックポイント到達後はペースを落とし、また休憩を取りながら明くる日に向けて体力の温存と回復を行っていく作戦だ。
まあ走るといっても、恐らく時速7~8km程度の歩いてるのか走っているのかわからない、そんなペースになるであろうが。
ゴールへは昨日と同じ18時目標。この時刻にゴールできれば足のケア等を明るいうちに行うことが出来る。暗くなると万事時間がかかる。疲れた体でそれは御免だ。

昨日リタイアとなった北海道のM浦さんがテントを去る身支度を整えていた。
彼は腎臓をご兄弟に移植された体でスタートラインに立っておられたそうだ。

そしてリタイアした他の日本人選手もそれぞれお別れに各テントを回っていた。
そのうちの一人、在ベトナムのA山さんは暑さにも強く相当な実力者であったが不運に見舞われレースを終えなければならなかった。
悔しかったのであろう、彼の眼は赤く、声も少し震えていた。A山さんと握手を交わし、旅の安全と完走を誓う。
彼らは他国のリタイア者とともに大会車両に乗り、ビバークを後にした。

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