マトスポブログ

サハラマラソン参戦記録 vol.14(全5ページ)

最も讃えられる選手

突然ですが、サハラマラソンで最も讃えられるのはどんな選手だと思いますか?
普通に考えればトップでゴールして総合優勝を果たす。そんな成績優秀者ことだと思うはずです。
もちろんこれは間違いではなく、讃えられて然るべきるものです。現に私も同じように思っていました。この場に来るまでは。

スタートから32時間。時刻が17時になった頃、最終ランナーがもうすぐそこまで来ていると連絡が回ってきたそうです。
なぜ”そうです”かというと、この頃私は熟睡していました。なのでこれは後から聞いた話になります。

連絡では最終ランナーは日本人選手でしかも複数だという。K池さんとF岡さんがゴール地点に行くと選手とスタッフ合わせて数百人が集まっていたそうだ。
なぜこれ程の人が集まるのであろう?それは彼らこそが”最も讃えられる選手”だからだ。
サハラマラソンの苦しさ辛さはこの場にいる者達が誰よりもよく理解している。
そして今からやってくる選手達は誰よりも長く焼きつける日差しに苦しみ、誰よりも長く寒く辛い夜を過ごし、だが諦めずゴールを果たす選手達なのだ。
そしてそれこそがサハラマラソンにおける”最も讃えられる選手”の条件なのである。

最終ゴールは4名。全て日本人選手だ。
先ずやや先行して1名。ひょんなことから社長職に就き、才覚と努力で会社を大きくした通称はそのまんま”社長”。
部下2名にサハラマラソンを走ってこいと命じたらいつの間にか自分も巻き込まれていたS野さんだ。

続いての2名は日本人選手唯一のチーム登録での参戦。3名で構成されるチーム登録選手のうち1名はすでにリタイアしているが、残った2名はこの日は打ち揃ってのゴール。
ある人物の付人と竹あかり演出家のコンビ、「TeamAHO」のK島さん(向かって左)とI田さん(右)。

そして本当の本当に最後にゴールを果たしたのは何と!このオーバーナイトステージの序盤でも紹介した旅人Mさんであった。

この日、彼らはヒーローとなった。パトリック氏に出迎えられ、そこに集まった人々から惜しみない拍手を受けたそうだ。

ゴールには立ち会えませんでしたが彼らの前向きで諦めない姿勢には本当に驚かされます。
この前向きな精神こそサハラマラソンで最も重要なファクターなのではないのでしょうか?何たって32時間以上歩いてきてこの笑顔ですから。
※写真提供 旅人Mさん

雑談

ひと眠りを終えて、有り余る時間をテントのみんなとの雑談に充てる。
やっとまともに起きているF岡さんを見たのもこの頃だ。本人は強く否定しているが、この日のF岡さんはほとんど寝姿しか記憶にない。
そしてF岡さんの手首から先がぱんぱんに腫れているのに気づく。どうしたんですか?と聞くと彼はむくみだと答える。
彼のバックパックは私と同じく公式のものだが、肩に追加のパッド等をあてておらず血の巡りが悪くなったためではないかと言う。
むくみといえばK池さんも激しい。彼のむくみは顔中心で、その見た目はほぼ別人になっていた。それを揶揄するとテントの全員から総ツッコミを受ける。

「「「「 おめーもだよっ! 」」」」

・・・へ?
このときまで全然気づいていませんでした。私の顔もパンパンにむくんでいることに・・。だ、だって鏡なんて見ないですし。
寝るときに足を上げたりストレッチを入念に行ったりと、それなりに気をつけていたのですが、それでも老廃物を処理し切れなかったようです。
かなりの悪人面とのこと。どれ程の悪相になったかは次回以降のどこかの画像で確認できます。乞うご期待!

他にはこんな話もした。
私が「日本に帰ったら何が食べたい?」とみなに向かって問いかけると、それぞれに好物を思い浮かべながらもそれを聞くなよという苦笑を浮かべていた。
彼らのその困った笑顔がなんとも面白く、今も強く印象に残っている。
ちなみに私は好物である「ヒレカツ」と答え、たっぷりと衣のついたカツにソースが絡むのを想像してしまい、一人勝手に悶絶していた。

残りの食料の話題になった際にF岡さんから某エネルギバーを頂戴する。パサつきが激しく喉を通らず大量に余っていたそうだ。
食料が不足していた訳ではないがとにかく目新しい味に飢えていたので、パサつきは無視してその場で一気に3本程がっついた。
私の食料は寝ず甚八作戦によりほとんど消費されていなかったので、誰かが役立ててくれることを願い、破棄という名目でテント内に放置しておいた。

1日のご褒美マーブルチョコ。昨日分は我慢して食べなかったので本日分と合わせて一気にいただく。普段の倍の12個になったと狂喜していたがいま考えると朝三暮四レベルである・・。

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