マトスポブログ
サハラマラソン参戦記録 vol.11(全5ページ)
このオーバーナイトステージの写真は、世界一周の旅の最中にインドから飛んできてサハラマラソンに参加した旅人Mさんのご好意で、彼の旅日記から幾つかを転載させていただきました。
ちなみに彼はエントリー及び振込み、健康診断なども旅先で行い、装備や食料はブログを介して支援で集めた上、
それらをフランスで受け取り、初めて見る装備で走るという・・・何というか稀に見るバイタリティーの持ち主である。本当に色々とオカシイ。
世界一周という大きな夢を、夢見るだけではなく実現させている彼のような人物は本当の意味で格好よく、また羨ましいと思う。
Mさん、今どの辺りだろう?日本に戻ってきたらまた面白い話を聞かせてください。貴方の旅の安全と成功を祈っております。
MaSaToの世界一周学校
彼の旅日記 ※外部リンク。サハラマラソンの他、世界一周の面白いお話が満載です。
石が折り重なって転がっており、時折その隙間にストックが刺さり引き抜くのに苦労をする。
途中何箇所かでルートが分かれる。一番進み易いと思われるルートは混んでおり、勾配の厳しかったり危険が伴いそうなルートは人が少ない。
一先ず無難なルートを進むが、時折前方のもたつきにより動きが止まってしまうのが悩ましい。よい休憩にはなるのだが・・。
そして突然怒声!見ると勾配の厳しいうわ手のルートから拳大の石が転がってきた。
誰かが足で引っかけてしまったのだろうか。幸い誰にも当たらなかったが、勘弁してほしいものだ。
一向に進まない行列に”いだち”の私はだんだんイライラし、遂に勾配の厳しいうわ手のルートに手を出した。
こちらのルートは山に自信のある選手、或いは私のような慌てん坊が揃っているためほとんど待ちなしで進むことができる。
勾配がきついので山側に手を添えながら登っていく。周りをよく見るとストックを持っているのは私だけだ。
ここではかえって邪魔になるので畳もうかとも思ったが、快速ルートを止めるわけにはいかず、また避けれるような場所も無いため諦めてそのままで進む。
そんな矢先、ストック持ちでは明らかに踏破できなさそうな難所に遭遇する。
※写真提供 旅人Mさん。彼も同じルートを通っていたようだ。
窪みを這い上がらなければならないようだ。両手を使わなければかなり難しだろう。
次はもう自分の番だ。どうしようかと考えていると、前の女性選手が窪みの中で動かなくなった。腕力が足らず、身体を持ち上げ切れないようだ。
やむを得ない。「sorry!」と言って彼女の臀部を両手で押し上げる。それで勢いがつき上手く登れることができたようだ。
そしていよいよ私の番だ。後ろからは早くいけよオーラが噴出している。仕方がない・・。ストック2本を口に咥え身を乗り出す。
やっぱり引っかかった!
し、仕方がない・・。右手の親指と手の平に挟み直して再チャレンジ。が、やはりストックが邪魔で右手が岩を上手く掴めない。
このままだと身体を持ち上げれないので、脚の力で姿勢をキープしストックを上に投げ捨てようと構える。
すると先程の女性選手がひょっこりと顔を出し、上からこちらを伺っている。しめた!
「 please!」
石突を掴み、ストックを彼女に差し出す。・・・受け取ってくれた!
右手が使えれば何ということはない。無事難所をクリア。窪みの上で彼女と握手を交わす。
視認できる限り、ストックが邪魔になる箇所はもう見えなかったので、懲りずにそのまま手に持って歩く。
そして腰に差していた木の枝丸がいつの間にか失くなっていた。本気で哀しい。お気に入りだっただけに残念だ。