マトスポブログ
サハラマラソン参戦記録 vol.10(全4ページ)
2014年4月、弊社の社員である尾西基樹30歳(独身)が、世界で最も過酷とされるサハラマラソンに参戦した記録譚、第10回。
少し間が開いてしまいましたが、今回は4月8日の後篇。
過去の模様が気になる方はバックナンバーからどうぞ!!
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4月8日 – 後篇
ゼッケンナンバー29。そして”痛み”
第2チェックポイント。時刻は14時前。
1.5Lの給水を受け、テントにスペースがあったのでそこに腰を掛け、しっかり15分程休むことにする。
道中少し汗が流れたので、日焼け止めを塗りなおす。
少量とはいえ汗を確認できたことで補給が上手くいっていると感じ取れた。
スポーツドリンクとパインジュースの混合ドリンクを作る準備をしていると、Rお姉様がやってきた。
まずい、めっちゃフラフラである。
呼び止め、テントの陰のスペースに座ってもらう。
熱中症だろうか。少し朦朧とされている。
だがそこはベテランのRお姉様。辛そうながらも補給作業を黙々と進めておられる。
ドリンク用のプロテインの粉がバニラ味らしく、漂うその香りに非常に惹かれる。
混合ドリンクの味に早くも飽き始めているため、Rお姉様がこんな状態でなければ少しねだりたい程であった。
お姉様が腕時計のタイマーをセットし、少し寝ていくというので 若干心配ではあるが先を急ぐことにした。
チェックポイントを出てすぐのところでゼッケンナンバー29の選手と出会う。選手紹介で私のすぐ後ろにいたあの選手だ。
彼は非常に聞き取り易い英語で話しかけてきた。
簡単な挨拶を済ませたところで、
「 失礼だが、その頭の物はなんだい? 」
帽子を渡し、説明文を見てもらう。
彼は小さく声に出して文章を読み、一言
「 とてもいいね。 」
なんてことのない短いやり取りだが、その立ち振る舞いに洗練されたものを感じた。
彼の名はサミュエル。この後毎日、私のペースが落ちてくる中盤以降に必ず追いつかれ、少し一緒に走りそして抜いていく。
軽いジョギングのようなフォームとペースで走るのだが、その速度は常に一定のようだ。
彼に限らず、ペースを保って走り続けれる者は積み重ねてきた年期が違うんだなと羨望を覚える。
ちなみに、彼はフランスでは有名なジャーナリストでありテレビ司会者だそうだ。
日本でいえば池上 彰氏といったところだろうか。数々のスポーツイベントにも出場されているという。
サミュエルの走行姿。彼とはSNSで親交が続いている。いつの日か再会したいものだ。
平地から再び砂丘に入る。今日の砂丘はこの3km強で最後だ。
まとまった砂丘を走るのは今日で最後かもしれない。そう思い、踏み荒らされていない綺麗な路面を求めてコースを外れ”それっぽい画像”を撮影。
が、選手が映り込む痛恨のミス。
風の谷のナウシカのオマージュを狙った”それっぽい画像”
そんなことをしていると同じテントのRくんに追いつかれ、一緒にオフィシャル写真に納まる。
Rくんに捨てていかれたものの無事に砂丘を終える。そして距離は短いが石の多い地形へと出る。