マトスポブログ
サハラマラソン参戦記録 vol.9(全4ページ)
砂のち山のち砂
チェックポイントが少々混みあっている。この先しばらく陰がないことが予想されるため、みなしっかりと休んでいるのだろう。
一方で、猛暑にも係らず水をなんでもゴミ箱に残していく選手がちらほらと見受けられる。
第1チェックポイントでの配水はこの日唯一の3L。スタート及び第2、第3チェックポイントはそれぞれ1.5Lの配水だ。
ほぼゼロになった水が一気に3kg分増えるのである。破棄する気持ちもわからないでもない。
私は保険としていつも通り全て携えていくことにする。1本をフロントバックに差し込み、もう1本で両胸のボトルを満たした。
ちなみに、初日に続いてここでも水を破棄して再び地獄を見ることになった選手もいたそうだ。ねぇF岡さん・・。
チェックポイントを出てすぐの道標に遊び心が施されていた。だが、できればモチーフは太陽以外のものにしてもらいたいものだ。
配水によって増した重みが肩に食い込む。
昨日までのレースで足は水ぶくれ等によって少し痛みがある。だが深刻なものではない。
しかし肩の痛みはバックパックの重みによって、いよいよ耐え難いものになってきていた。
フロントベルトに追加した、ひとつ100gもある緩衝材も気休め程度にしかならない。
時々フロントベルトの肩に当たる位置を変えたり、両手を後ろに回してバックパックを支えたりしながら痛みをやり過ごす。
スタートから3時間が経過し、すっかり日が高くなった頃”それ”が見えてきた。
それ
砂丘が終わり、やっとなだらかな道になったと思ったらこれですか。
人の流れでお察しはつくであろうが、これを・・・
登ります。※写真提供F岡さん
先行していた選手達の速度も落ち、登り易い石畳状の箇所に集まり一列で登っていく。
登りは平地以上にバックパックが重荷に感じる。
しかし今日のコンディションは心身とも良好である。やっと山登りの練習をした成果を出せると意気だけは高い。
脚に負荷がかからぬよう手に持ったストックに力を込め、身体を持ち上げる。
余談だが、亡くなった私の祖父は先の大戦時に満州で兵役に就いており、
物資運搬の際にひとつ13貫(48.75kg)ある塩の荷を、部隊で唯一人ふたつ担いで歩いた豪傑だったそうだ。
父親から聞かされたこの話を、サハラマラソンの最中ふと思い出した。
この程度の荷物で重いのなんのといちいち気を落としていたら祖父に笑われてしまうのだ。