マトスポが取材したノンジャンルな記事を発信

Post on 2014.07.04
タグ:

サハラマラソン参戦記録 vol.5

2014年4月、弊社の社員である尾西基樹30歳(独身)が、世界で最も過酷とされるサハラマラソンに参戦した記録譚、第5回。
いよいよスタートの時を迎えます!!
この第1ステージは、参戦した本人にとって非常に印象深いステージだったとのことなので、書ききれない溢れる思いの丈を2回に分けてお届けいたします。
それでは第1ステージ前編、ご覧ください!

バックナンバー

>>vol.1 >>vol.2 >>vol.3 >>vol.4

4月6日

第1ステージ 34km/制限時間 10時間

 

 

  • レース初日の朝

午前5時30分頃、テントメイトの身支度の音で目を覚ます。
スタート時刻は9時なのでもう少し寝ていようかと思ったが、程なくして女性スタッフの訪問があった。
彼女によると6時30分~7時30分の間に水の配給が、7時45分から全選手による記念空撮があるとのこと。
更に空撮後そのままスタートラインへ移動し、8時30分からこの日の諸注意。そしてそのままスタートを迎えると告げられる。
思っていたより前倒しで身支度を整えなければならなくなったため、仕方なく起床。
ちなみにこの女性スタッフはデビーさんとおっしゃり、日本人テントの担当でこれから毎日顔を合わせることになる。

着替えを終え、石ころで五徳を被うように窯を造り、昨日ベルベル人からもらった薪で朝食用の湯を沸かす。
初日の朝食は持って走る必要がないため少し贅沢な内容。
メインは大好物のタコライス。袋に入った挽き肉を湯で温めるインスタント版だが、水がもったいないのでこれは常温で。
湯で戻したアルファ米に常温の挽き肉をかける。・・おいしい!何もない荒野で食べる沖縄の味はまた格別である。日本を発ってから久々の白米でもある。

食事後、ビバークの中央部にペットボトル満載のトラックが停まり、水の配給を受けに行く。例の給水カードを携えゼッケンに対応した列に並ぶ。
先頭までくるとゼッケンナンバーを確認され、給水カードにパンチが施された。そして他のスタッフがペットボトルのキャップと本体の二箇所に”1024”と素早く書き込む。
1,000名以上の選手を捌くためか、文字は辛うじて読めるかどうかといったところ。特に数字の”4”が印象的。
このペットボトルは所定の場所(ビバークとチェックポイントの、通称なんでもゴミ箱)以外で破棄するとキャップと本体に書かれたゼッケンナンバーが証拠となりペナルティの対象となる。

 

 

配給を受けた1.5Lのペットボトル2本の配分を考える。1本をフロントバック上部に横向きに差し、もう1本を750ml容量のボトル2本に移し替えフロントベルトのボトルホルダーに差し込む。
ホルダーのボトルの1本は水のまま、もう1本は粉末を混ぜてスポーツドリンクとした。
空いたペットボトルのキャップに安全ピンで穴を開けシャワーヘッドを作製。レース中に水を頭や腕などにかけて体を冷却するためだ。
配給の水の使い道は各個人の自由で、飲料や食事のためだけではなく、洗濯やこういったことに使用してもよい。

使い道は自由ということは捨てるのも自由ということ。テント内で最初のチェックポイントまでの15kmで水3Lは多すぎるんではないかという意見が出る。
確かに普段日本で走ることを考えれば1.5Lあれば十分であり、さらに初日はバックパックの重量が各自最大で、そこに3L=3kgが加わるとなるとかなりの負担となる。
とはいえ、ここで3Lが設定されているのはそれなりの理由があるのかもしれない。
ここで配給どおり3Lを携える者、1本を廃棄して1.5Lで勝負する者にわかれ、これは他のテントでも同様のことが起こっていたようだ。
ここでの判断はそれぞれの初日の展開に大きな影響を与えることになる。
私は3Lを選択。多少の負担より、未経験であるサハラの気候を警戒した。バックパックと合わせ16kgとかなり重いが、状況次第で破棄すればいい。

さて、この間にベルベル人スタッフによって我々のテントがひっぺがされた。この作業は食事中だろうがお構いなしに進む。
絨毯は残してくれるものの、この作業が始まる頃には太陽は高々と昇り、容赦なくこれにさらされる。
そそくさと帽子を被り、日焼け止めを塗る。

 

昨晩と同様のフットケアも行う。サハラの様な極度に乾燥した気候ではあっという間に水ぶくれができてしまうが、保湿を与えることで進行を遅らすことができるのだ。
7時20分頃、デビーさんが配水を受けたかの確認を行いに再度テントを訪れた。
ここで彼女から今日のコースについて言及があった。
「 今日のコースは厳しい設定になっている。特にスタート3km先から第1チェックポイントまでの12kmの大砂丘は非常に厳しい。ソルトタブレットをきちんと摂取するように。 」
注意喚起というよりは警告に近い感じだ。テント内にも緊張が走る。各自もう一度本日のコースマップを確認する。

最初の3kmがフラットな荒地、その後延々12kmに亘って大砂丘が続き、それをクリアするとすぐに第1チェックポイント(スタートから15km)。
第1チェックポイントからは涸れ川が6km、続けて荒地を抜けると村があり、そこを過ぎると第2チェックポイント(第1チェックから10.8km)。
荒地がしばらく続いた後、丘陵と小さな峡谷を越える。第2チェックポイントからここまで3km。
2km少々の涸れ川を行き、最後はまたしても砂丘。最初の大砂丘より規模は小さいがそれでも4km近くある。この砂丘群を抜けるとすぐゴール(ビバーク)。

・・・やはり今日のレースの肝は、第1チェックポイントまでの大砂丘をいかに越えるかにかかっていそうだ。
最初の3kmはとりあえず走り、12kmの大砂丘は様子を見てゆっくり越え、その後の作戦は第1チェックポイント到達時の残り制限時間と相談して決めることにした。
また、明日以降のステージのこなし方は当初より今日の第1ステージの内容いかんで決めることしていたので、そういう意味でも今日のレースは重要である。

advertisement

advertisement

1 2 3 4