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Post on 2014.06.09
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サハラマラソン参戦記録 vol.3

2014年4月、弊社の社員である尾西基樹30歳(独身)が、世界で最も過酷とされるサハラマラソンに参戦した記録譚、第3回。日本との気候の違いに戸惑い、大物人物と会遇、テント生活の始まり。てんこ盛りのアフリカ編、しかしながらまだレースはスタートしません!

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4月4日

モロッコ入り。そしてビバーク(野営地)へ

この日はいよいよ大会開催地であるアフリカはモロッコへと赴く。
自らの人生においてアフリカ大陸を訪れることはないだろうと考えていた私には もちろん初めて訪れる国である。
余談だが友人等にモロッコのイメージを聞いた際、返ってきた答えの多くはなぜか性転換であった。
だが、我々42名の日本人参加者にとってモロッコとはサハラマラソン、その聖地だ。

チャーター機の待つオルリー空港へは貸切バスで赴くのだが、集合は11時と遅かったため、余った時間でアルファ米をジップロックに小分けする。
当初これは必要ないと思っていたが、同室のK和田さんが行っているのを見てよさそうだったので取り入れることにした。
パッケージの状態と重量はほぼ変化ないが、かさ張りは目に見えて小さくなった。
日本で独り準備しているときはもう弄る箇所はないだろうと思っていたが、見比べる対象ができるとやはり改善の余地があるものである。

オルリー空港までは20分ほどで到着し、添乗員の案内でチェックインカウンターへ。
指定の列に並ぶとちらほらと参加者らしき人が見受けられた。みなさすがに大荷物だ。
カウンターには係員とは別に茶色のベストを着た男性がいる。左胸に”29e”の大きな文字が見える。サハラマラソンのオフィシャルスタッフだ!
このベストを着たスタッフ達にモロッコを飛び立つその日まであれよこれよとお世話になるのだ。
彼は大会ロゴの入ったリストバンドを私に手渡し、一言「 Welcome! 」。オフィシャルの人物に会い、「遂にやってきたんだなぁ」と実感が湧く。
この後、手荷物検査と出国審査に2時間程かかり、やっとこさチャーター機へと搭乗。

フライトは非常に快適で、天気もよくヨーロッパの田園風景がよく見える。
日本とは違うスペインの景色を眺めていると海が見え始め、ジブラルタル海峡の先にはすでにアフリカ大陸が見えている。
空から見るアフリカ大陸の第一印象は”不毛”という感じ。見える範囲は全て砂土茶色!

出発から約3時間、飛行機は非常に小さな空港に降り立った。飛行機が停まるとすぐに搭載されていた預け荷物が機体の脇に並べられ始める。
どうやらそこで荷物を受け取り、入国審査所であろう少し先にある建物まで歩いていくスタイルのようだ。

ドアが開き、いよいよ記念すべきアフリカ第一歩・・・って暑い!いや熱い!!なんだこの日差しの強さはっ!
この日差しの熱さを伝えるにかっこうの例えがある。それは前日の夕食時に、50℃近くにもなるサハラの暑さとはどういうものなのかを経験者に尋ねた際のものである。
彼の答えはこうだ。
「 例えるなら電気ストーブ。ストーブの目の前にジッといると焼けるように熱い。でもストーブから逸れると=影に入ると途端に涼しくなる。そんな感じ。 」
実感できました・・・。コースに設定されているサハラのど真ん中はここよりずっと暑いし熱いはず。考えるだに恐ろしい。
荷物を受け取り、日差しから逃げるように影がある建物へと向かう。

建物を入るとすぐ入国審査なのだが、すでに長蛇の列ができている。

用意しておいたアラビア語の入国審査の手引書を取り出し、審査カードに記入する。需要があったので用紙は日本のみなに使ってもらう。
恐らくこの空港で一年で一番込み合うのが今日であろうが、審査官はマイペースであり遅々として進まない様子。
「 どうせ進まないのだから 」とみなゆったりと構え、牛の着ぐるみに着替えたり同乗していた韓国女優の撮影スタッフにインタビューを受けたりしていた。
私は元来”いだち”なので日本人先頭で列に並ぶ。
フランス語の辞書を読みながら順番を待っていると、審査所の方から大柄な初老の男性がこちら向かってくる。

「ん?あの人 見覚えがあるぞ・・パトリック・バウワーさんだ!」

パトリック・バウワーとは30年前にサハラ砂漠約200kmを走り、
その感動を世界中に伝えるために翌年に第1回サハラマラソンを開催したこの大会の主催者であり、サハラマラソンに参加する全ての人々からリスペクトされる存在であり、まさに立志伝中の人物だ。

彼がすぐ目の前に来る。
すかさず言う。

「 失礼ですがパトリック氏でしょうか? 」

満面の笑顔のパトリック氏
とても気さくに

「 ウィ!そうだよ! 」

先程覚えたばかりの単語をさっそく使ってみる
「 アンシャンテ(はじめまして)! 」

パトリック氏に気付いた後ろに並ぶ仲間を示して、日本から来たことを伝える。
いくつかの日本語で挨拶をしてくれたパトリック氏に日本チーム大盛り上がり。
”いだち”が故に敬愛する氏とのファーストコンタクトを取れたことにひとり小さくガッツポーズ。

主催者であるパトリック氏が自ら空港まで出迎えてくれたことで、この大会が世界中のランナーを魅了し、常に沢山のリピーターを生んできたその理由の一端が垣間見れた気がした。
氏はこの後も大会中いたるところへ現れ、またそんな氏の薫陶か スタッフはみなフレンドリーで常に我々がリラックスできるよう努めてくれた。
計測スタッフとして様々なレースへ赴き、沢山の大会を見てきた私には、後にも記すがこの大会とその運営の素晴らしさがほとんど肌で実感できた。

さて入国審査は1時間程待ってそれ自体はあっさり終了。審査所の先には大勢のスタッフと数台の観光バスが待っている。
乗車後すぐに簡単な食事が配られる。ホブス(モロッコでは一般的は平べったい丸いパン)とやたらしょっぱいジャーキーが印象的。
大会のスポンサーのひとつにもなっているシディアリという銘柄の1.5Lサイズのミネラルウォーター(軟水)も手渡された。これから毎日お世話になる水である。

 

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