マトスポブログ

サハラマラソン参戦記録 vol.8(全3ページ)

第3チェックポイント~ゴール

先程の集落で少し休んだので、チェックポイントでは給水だけ行いすぐに出発。

この辺りの砂はかなり赤く、せっかくなのでチェックポイントを出てすぐの丘の上から撮影を行う。
起伏でほぼ隠れてしまっているが、旗の様なものが見える箇所がチェックポイント。その後方には先程の集落の緑が見える。

ゴールまでの距離は約7km。距離は短いが、砂が深く足をとられる。
よっぽどのことがない限り本日は完走圏内なので、ペースの調整という名目でゆっくりダラダラと進む。

最後の丘陵の手前で昨日ヘッドライトとボトルを届けてくれた恩人のM沢さんと出会う。
これ幸いと約束の通り彼の写真を撮らせていただく。

大恩人・55番テントのM沢さん。赤いコスチュームが素敵です。

彼が先行する形で別れた後、少しして丘陵の頂きに到達。
見えた、ゴールだ。

ふと時計を見る。あと10分少々で18時。そして今頃になって本日の目標、18時ゴールを思い出す。
ゴールまでは2km。
うーんどうしよう。歩いても30分程で着けるしな~と考えながら昨日同様、ZARDの「負けないで」を選んで再生ボタンをクリックする。

イアホンからメロディーが流れる。

うおーっ!!
即スイッチが入って走り出す私。先程までの葛藤は何だったのだろうか?実に単純である。

時折ペースを落とすも快調に飛ばす。
途中M沢さん他、数人の日本人選手をパスする。チームになって進んでいる方もいるようだ。
ゴールの手前で56番テントのGさんと再び出会い、近い位置に日本人が何人かいるのでみんなで一緒にゴールしようともちかけられる。
さすがGさん、ナイスアイデア。しかし変なスイッチが入って空気を読めない私は、目標があるからと訳の分からないことを口走りそのまま走り去る。

そして息を切らしながら必死の形相でゴール。
時計を見る。
残念ながら時刻は18時を少しまわっていた。

やれやれ仕方ないかと苦笑しつつ、今日一日の感謝を込めてサハラに一礼した。

ゴールの先で熱々のスルタンティーを飲んでいると、Gさんたち日本人選手団が歓声とともに横並びでゴール。
協調性の無さを出したばかりに、羨みと罪悪感覚えつつみなを出迎えた。

メディカルテントと履物

テントに戻ると広島のK池さんが横になっていた。他の方はまだ帰ってきていないらしい。
待ちくたびれたよ、とK池さん。よく見ると両足とも包帯が巻かれている。
マメが酷く、除去手術を受けたそうだ。手術はというと、好奇心から見物に来たスタッフに囲まれたり、医師が自分の手を切るトラブルがあったりと散々だった模様。
手術は昨日赴いたメディカルテントとは別に重症者用のテントがあり、そこで実施されているという。
そこなら消毒液入りの水で足が洗えるとの情報をいただいたので、早速行ってみることにした。

かなり大きなテントで、外には順番待ちの選手20名程が例の消毒液入りの水のボトルを持って待機していた。
どうやらメディカルテントで重症と判断された場合は整理券付でこちらに回されるようだ。

私は水ぶくれが幾つかできていた程度だったので、こっそりと足を洗い、順番は逆になったが軽症者用のメディカルテントへと向かった。
2日目ともなるとみな足が痛み始めるのか、昨日より行列が延びている。
行列に加わると、すぐ前に草履姿のGさんが並んでいた。

ビバークでの履物だが、ほぼ全ての選手が競技用のシューズとは別に草履の類を持ち込んでいる。
ゴール後から明くる日のスタートまでの間、メディカルやトイレなど何かとビバーク内を行き来しなければならない。
傷んだ足でシューズを履くよりかは、多少の荷物になってもゆったりした草履等を用意する方が精神的にも衛生的にもよいという考えだ。
私の場合は「軽量、指が覆われている(ガードされている)、風通しがよい」この3つを満たすものを求めた。
散々探した結果、なんと100円ショップで上記の条件に当てはまるものを発見。両足合わせて150g!ソールも厚く実用的だった。
Gさんはサハラマラソン公式のものを履いておられた。これは53番テントでも使用者がおり、軽量だがホテル等によくある簡易スリッパに近く、石が転がっているビバークでは歩き辛そうだった。

Gさんと雑談したり、彼のビデオに収まったりしながら順番を待つ。
30分程待ち、先ずGさんがテントに入り、受付に症状を伝える。彼も私と同様水ぶくれが数箇所ある様だった。
私は昨日と同様に「 前の彼と一緒 」とだけ伝える。こればっかりや・・。

水ぶくれを片っ端から処理していく。両足とも赤チンで見るも無残な姿となる。
ちなみに、この皮膚に染み込んだ赤チンは帰国後ひと月してもまだ染み付きが残っていた。
治療用の機材はかなり多めにもらえたので、余ったものはレース中の緊急用として持ち帰った。

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